フォールバックイベント後のLIBOR参照デリバティブの新しい評価方法
2020年9月8日(火)
- セミナー概要
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- ISDAからIBORフォールバック調整のデータプロバイダーをして選ばれたBloombergが7月に入ってから公表した一連の文書で、2006年ISDA定義集に訂正追加されるIBORフォールバックの詳細を先取りする形でIBORのフォールバックイベントが起きたときに決まるスプレッド調整とトレードごとのIBORフォールバックレートの決め方の詳細が公表された。
- IBORのフォールバックイベントが起こると、IBOR通貨とテナーごとのスプレッド調整値が直近5年のルックバック期間のIBORと調整リスクフリーレート(BloombergではこれをAdjusted Reference Rateという、一般的には、代替金利はRFRに限らないからであろう)の実現スプレッドの中央値として決まることはISDAでの市中協議でコンセンサスが得られていたが、これらのデータからの決め方の詳細をBloombergが公表した。Bloombergは土日を除くすべての日のレート記録日から直近5年のルックバック期間から計算される「仮にIBORの恒久的公表停止がレート記録日に宣言されたとしたらきまるスプレッド調整値」を公表し、これを実際にIBORフォールバックイベントが起こるまで続けることで最終的に決まるスプレッド調整値が決定される。Bloombergはフォールバックイベント後も、IBORフィクシング日としてレート記録日のラベルを付けた後決め複利リスクフリーレートを通貨とテナーごとに公表する。この後決め複利リスクフリーレートにすでに決まっているスプレッド調整値を加えることで、IBORの“基準”フォールバックレートが決まる。実際のトレードでのフォールバックレートは、IBORの支払日かから取引当事者間で合意されるカレンダーに基づく2営業日前までにフォールバックレートがわかっている必要がある。そうでない場合は、フォールバックレートがわかっている直近のレート記録日をラベルとするフォールバックレートとなるとBloombergは説明する(Dynamic Backward Shift)。
- 取引の現在価値やリスク計算をするセルサイドでは、少なくともLIBORのフォールバックイベントにスプレッド調整値が明らかになったところで、LIBORカーブからOISカーブへとフォワードレートを計算するプロジェクションカーブを切り替える必要がある。既存のLIBORを参照していた取引の現在価値やリスク計算では、Bloomberg/ISDAがきめたルールから調整リスクフリーレートの金利参照期間のスタート日とエンド日を計算して、評価日までにすでに決まった日々のリスクフリーレートだけの情報から現在価値やリスク評価をする。今のOISでも日々にきまるリスクフリーレートの情報だけから現在価値を計算して、変動金利である最終的な後決め複利レートもその積み上げできまる。その意味からBloombergが計算したフォールバックレートが本当に必要なのは、最終的なフォールバックレートをスクリーンで確認したいエンドユーザーだけに限られるのでないか。
- 今回のセミナーでは、Bloombergが公表し始めた1連のIBORフォールバック関連指標の計算方法の詳細と指標の使い方、トレード固有のLIBORフォールバックレートの計算方法の詳細、LIBORフォールバックイベント後のLIBOR参照トレードの現在価値計算の詳細について講義する。
- 規制当局は、LIBOR廃止後の新たな金利スワップであるRFR対固定のスワップがLIBOR対固定のスワップより流動性がはるかに少ないことに焦り気味の様子である。これを解決する最良の方法は、IBORフォールバックのプロトコルにマーケット参加者が合意しそれが有効になった段階で速やかに、英国FCAが2022年からのLIBORの恒久的な公表停止を宣言することである。2022年以降にLIBORを参照する既存スワップは、実質OISとなり、セルサイドは日々金利水準のヘッジでRFR対固定のスワップを使うことになり、長期セクターを含めたOISの流動性は劇的に増え、指標としてのターム物RFRも容易に構築できよう。実際にFCAがそれをするには、少なくとも、セルサイドが将来のLIBORフォールバックレートを評価できるまで待つであろう。そのためにも、2006年ISDA定義集に訂正追加されるIBORフォールバック詳細の正式公表を待たずに、BloombergがIBORのフォールバックレートの決め方の詳細を速やかに公表する必要があったとも考えられる。
- セミナー対象者
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- 金融機関に勤務するクオンツ、トレーダー
- 金融機関のデリバティブ、ALM、リスク管理等の関係部署の方
- デリバティブ業務等の監査に携わる方、金融商品の評価業務に携わる方
- デリバティブ、金融リスク関係のシステム構築に携わる方
- 微分積分の計算に抵抗のない方
- 開催スケジュール
- 日程
- 9月8日(火)
- 18:00 - 21:00
- 会場
- ZOOM オンライン
- 定員
- 25名
- 講師
- 高田勝己 (経歴詳細)
株式会社 Diva Analytics 代表取締役 - 受講価格
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- 受講料:50,000円(税抜)
フルタイムの学生の方は、5割引きで受講できます。
- 講義内容
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1. Bloombergの公表するフォールバック関連データ
- ・ISDA市中協議でのIBORフォールバックレート決め方のコンセンサスとBloombergの決めた詳細の違い
- ・Bloombergの公表する調整リスクフリーレートの決め方の詳細
- ・Bloombergの公表するスプレッド調整値の決め方の詳細
- ・日付ラベルとしてのレート記録日とレート計算日
- ・Bloombergの公表する調整リスクフリーレート、スプレッド調整値、フォールバックレートの意味とその使い方
- ・IBORフォールバックでのBloomberg公表値の扱いとCut-off time
- ・トレード固有のフォールバックレートの決め方
- ・フォワードLIBORフォールバックレートの計算
- ・OISの変動金利とLIBORのフォールバックレートの評価方法の違い
- ・コンベクシティー調整が必要な場合
- ・スワップションとキャップ/フロアーのフォールバックイベント後の評価
- ・フォールバックイベント前の戦略的な評価方法
- ・Bloombergスクリーンは本当に必要か
- ・現物商品のIBORフォールバック
(注)講義内容は見直し等により変更になる場合があります。 - 申込み方法
- [申込みフォーム]に必要事項を入力し、送信してください。
送信されますと、弊社より確認メールが届きます。
FAXによるお申し込みをご希望の場合は[PDFの申込みフォーム]に必要事項をご記入の上、03-5544-8852 までご送信下さい。
申込書受領後、請求書が必要な場合は受講料の請求書をお送り致します。
確認メールに記載されている指定口座に開講日までに受講料を納入してください。納入を確認次第、申込み完了となります。
法人申込みの方で予算請求期日等の関係で開講日までに納入できない場合は、[お問い合わせフォーム]にてご相談ください。 - 運営規定
- 定員(25名)になり次第、受け付けを終了させていただきます。
一定の人数(通常は5人)に達しない場合は、開講日の1週間前までに未開講の旨をご連絡しますので、ご了承ください。