LIBOR移行問題アップデート
- 日本円金利指標の選択と利用に関する市中協議を適切に考えるために -

2019年9月9日(月)

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セミナー概要
  • 日本円金利指標に関する検討委員会が、今年7月2日に「日本円金利指標の適切な選択と利用等に関する市中協議」を公表した。現在、IBORに代わる新しい指標を参照するスワップのコンベンションは中央清算機関(CCP)が整理し、デリバティブのIBORフォールバックはISDAが検討、現物のIBORフォールバックと新しい指標を参照する現物取引のコンベンションは各国の商習慣を考慮して各国のリスクフリーレートに関するワーキンググループが検討する棲み分けとなっている。さらに、通貨ベーシススワップはARRC(米国の検討委員会)が中心となり各国のワーキンググループがこれに参加して意見を述べることになっている。
  • 本市中協議の内容は、円建てローンや債券のJPY LIBORを参照する新規現物取引のLIBORフォールバックだけでなく、既存取引のフォールバックやLIBORに代わる新しい指標を参照する新規取引も対象にしている。英国や米国では、新指標を参照する現物取引はマーケットに任されており、債券やローンで複利後決めRFRが参照金利として確立されつつある。最近になって、SOFR債券のコンベンションをARRCが整理し、英国でも別途、SONIAを参照する現物取引のコンベンションをまとめた市中協議の結果が発表されたばかりだ。
  • 円はLIBORに相当する国内金利としてTIBORがあることが、英ポンド(LIBOR自体が国内金利)や米ドルと異なるところであり、国内金利のTIBORよりLIBORに依存する商品の割合が圧倒的に高いという意味では、JPYと同様に国内金利を持つEUR、AUDやCADとも異なる。市中協議では、TIBORを存続させこれとリスクフリーレートであるTONAのターム物レートを商品によって使い分けるマルチプル・レート・アプローチを指向している。EURではEURIBORを存続させることに対して一部から反対の声があることを考えれば、本市中協議はマルチプル・レート・アプローチが国際的に正当化される試金石となる可能性がある。
  • 検討委員会内で最も多かった意見は、デリバティブで参照されるJPY LIBORはISDA投票のコンセンサス通り複利後決めTONAへのフォールバック、ローンや債券で参照されるJPY LIBORのフォールバック金利やトリガーはISDAでのデリバティブのものにあわせ、新規ローンのJPY LIBORに代わる後続金利はTIBOR、 FRNの後続金利はフォワードルッキングなターム物TONAと、現物の新規取引とフォールバックで整合的でないようにみえるし、米国と正反対の結果である(米ドルでは、現物取引のUSD LIBORの第1順位のフォールバックレートはフォワードルッキングなターム物SOFRであり、新規取引の参照レートは複利後決めSOFRである)。ISDAのデリバティブのフォールバック市中協議文書では、JPY LIBORのフォールバックレートとしてTIBORの可能性もあることを示唆していたが、この可能性はなくなった。EURIBORのフォールバックレートはフォワードルッキングなターム物リスクフリーレートとユーロの検討グループでは整理されていたが、EURIBORが存続するとすれば、フォワードルッキングなターム物リスクフリーレートを最も必要とするのは円ということになる。この意味で、日本はどの国よりもフォワードルッキングなターム物TONAを真剣に開発する必要がある。また、市中協議ではTIBORが存続するのが前提でTIBORのフォールバックについては触れていない。
  • 今回のセミナーでは、IBOR移行問題のアップデート、日本での現物取引のLIBOR移行に関する市中協議を考えるにあたっての国際的な議論や国別の進展について講義する。
セミナー対象者
  • 金融機関に勤務するクオンツ、トレーダー
  • 金融機関のデリバティブ、ALM、リスク管理等の関係部署の方
  • デリバティブ業務等の監査に携わる方、金融商品の評価業務に携わる方
  • デリバティブ、金融リスク関係のシステム構築に携わる方
  • 金融機関や事業法人に勤務されていて、LIBOR移行問題に関係する方
  • LIBOR移行問題を一般常識として学びたい個人の方
開催スケジュール
日程
  • 9月9日(月)
時間
  • 18:00 - 21:00
会場
JAビル カンファレンス 301B
[アクセス]
定員
25名
講師
高田勝己 (経歴詳細)
株式会社 Diva Analytics 代表取締役
受講価格
  • 受講料:50,000円(税抜)
講義内容
1. LIBOR移行問題 アップデート
  • ・金利指標改革
  • ・マルチプル・レート・アプローチ
  • ・英国ポンド、米国ドル、スイスフラン型
  • ・ユーロ、豪ドル、カナダドル型
  • ・日本円型
  • ・ISDAのデリバティブに関するIBORのフォールバック
  • ・リスクフリー金利検討委員会の現物取引(ローンや債券)に関するIBORのフォールバック
  • ・複利後決めRFR、複利前決めRFR、及びフォワードルッキングなターム物RFR
  • ・現物の新しい金利指標を参照する新規取引
  • ・インターバンクと対顧客の新しい金利スワップ
  • ・金利ベーシススワップのマーケット
  • ・新しい通貨ベーシススワップのコンベンション
  • ・ヘッジ会計
  • ・複利後決めRFRの公表
  • ・フォワードルッキンなターム物RFRの指標開発
2. 日本円金利指標の適切な選択と利用等に関する市中協議
  • ・新しい指標を参照するローン
  • ・新しい指標を参照する債券
  • ・JPY LIBORのフォールバック
  • ・フォールバックのトリガーイベント
  • ・フォワードルッキングなターム物TONA
  • ・TIBORの利用
  • ・円デリバティブマーケットの将来
  • ・国際的整合性か国内事情かの選択

(注)講義内容は見直し等により変更になる場合があります。
申込み方法
[申込みフォーム]に必要事項を入力し、送信してください。 送信されますと、弊社より確認メールが届きます。
FAXによるお申し込みをご希望の場合は[PDFの申込みフォーム]に必要事項をご記入の上、03-5544-8852 までご送信下さい。
申込書受領後、請求書が必要な場合は受講料の請求書をお送り致します。
確認メールに記載されている指定口座に開講日までに受講料を納入してください。納入を確認次第、申込み完了となります。
法人申込みの方で予算請求期日等の関係で開講日までに納入できない場合は、[お問い合わせフォーム]にてご相談ください。
運営規定
定員(25名)になり次第、受け付けを終了させていただきます。
一定の人数(通常は5人)に達しない場合は、開講日の1週間前までに未開講の旨をご連絡しますので、ご了承ください。
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