SABRモデルと後決め複利RFR Capletのプライシング
2020年11月17日(火)~ 全6回
- セミナー概要
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- 英国のリスクフリーレート・ワーキンググループ内の非線形デリバティブ・タスクフォースが、2020年9月18日付のICEベンチマークアドミニストレーションへのレターで、LIBOR廃止後またはその前にLIBORベースのスワップの流動性がなくなることを懸念して、既存のCMS商品やスワップションが参照しているLIBORに対するICE スワップレートの定義をRFRに対するICEスワップレートにISDAのLIBORフォールバックで決まるスプレッドを足したレートにする(EONIAの定義をESTR+8.5bpと再定義したように)という意思表示をした。これで、非線形デリバティブの関するIBOR改革がようやく動き出す。
- 5通貨のL[IBORは、調整RFR+スプレッド調整値へとフォールバックされる。これは、スワップで参照されるLIBORだろうがスワップションやキャップ・フロアの金利オプションで参照されるLIBORだろうが同じである。LIBORフォールバックで最も評価上の設定が変わってしまうのは、Cap/FloorやCaplet/Floorletであろう。もともとのLIBOR CapletはLIBORが前決めの金利であることから、オプション満期はLIBORが決まるとき(計算期間のスタート日のロンドン2営業日前)であったが、LIBORが調整RFR+スプレッド調整値に代替されれば、オプション満期は計算期間のエンド日の2営業日前となる。しかも、計算期間のはいるとONのRFRが徐々に決まることからフォワード調整RFRのボラティリティーがだんだんと減少して最後にはゼロとなる。
- 6回の連続セミナーでは、SABRでの後決めRFR Capletプライシングの完全導出を目指す。まず、復習としていままでのLIBORスワップション、LIBOR Caplet、また、新しいRFR スワップションやターム物RFRのCapletに使われるパラメータが一定なSteady SABRのHagan近似式の完全導出をHaganらの論文にしたがって行う。その後、後決めRFR Capletプライシングのために、時間に依存するボラティリティをもつDynamic SABRモデルでの限界確率密度関数の満たす1次の実効前進偏微分方程式の導出を行う。方程式の係数が時間に依存するため、Effective Medium Approachを使って、時間に依存しないパラメータで記述される限界確率密度関数の満たす1次の実効前進偏微分方程式導く。これをSteady SABRの限界確率密度関数の満たす1次の実効前進偏微分方程式と比べることで、時間に依存するボラティリティをもつDynamic SABRモデルの近似解をSteady SABRモデルのパラメータで表すことができる。後決めRFR Capleは、この結果を使って、Steady SABRとしてプライシングできる。この結果を使うと、後決めCapletと1期間スワップションを同時にプライシングしたり、これらを比較したりできる。まず、最初に漸近展開や接道定理等の数学の準備をして、本題にはいることにする。
- セミナー対象者
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- 金融機関に勤務するクオンツ、トレーダー
- 金融機関のデリバティブ、ALM、リスク管理等の関係部署の方
- デリバティブ業務等の監査に携わる方、金融商品の評価業務に携わる方
- デリバティブ、金融リスク関係のシステム構築に携わる方
- 微分積分の計算に抵抗のない方
- 開催スケジュール
- 日程
- 第1回:11月17日(火)
- 第2回:11月24日(火)
- 第3回:12月1日(火)
- 第4回:12月8日(火)
- 第5回:12月15日(火)
- 第6回:12月22日(火)
- 18:00 - 21:00
- 会場
- ZOOM オンライン
- 定員
- 25名
- 講師
- 高田勝己 (経歴詳細)
株式会社 Diva Analytics 代表取締役 - 受講価格
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- 受講料:300,000円(税抜)
フルタイムの学生の方は、5割引きで受講できます。
- 講義内容
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第1回 SABRモデル近似公式導出のための数学準備
- ・漸近展開
- ・摂動定理
- ・常微分方程式
- ・偏微分方程式
- ・確率微分方程式
- ・Kolmogorovの前進方程式と後進方程式
- ・Tanaka’s formula
- ・Shifted SABRモデルの挙動
- ・Small-maturity Expansion
- ・ローカルタイムとオプションプライシング
- ・推移確率密度関数の満たすKolmogorovの前進方程式
- ・摂動定理の後進偏微分方程式への応用
- ・Shifted SABRモデルのオプション価格の算出
- ・Equivalent Normal Volatilityの算出
- ・Equivalent Shifted Lognormal Volatilityの算出
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- ・Dynamic SABR
- ・限界確率密度関数の満たす有効1次前進偏微分方程式
- ・Effective Medium Approach
- ・Steady SABRへのマッピング
- ・1期間 RFR Swaptionと後決め複利RFR Caplet
- ・Bottom-Up アプローチ
- ・Top-down アプローチ
- ・Piterbarg (2020) の方法
- ・Willens (2020) の方法
- ・算術平均FRFのcaplet
(注)講義内容は見直し等により変更になる場合があります。 - 申込み方法
- [申込みフォーム]に必要事項を入力し、送信してください。
送信されますと、弊社より確認メールが届きます。
FAXによるお申し込みをご希望の場合は[PDFの申込みフォーム]に必要事項をご記入の上、03-5544-8852 までご送信下さい。
申込書受領後、請求書が必要な場合は受講料の請求書をお送り致します。
確認メールに記載されている指定口座に開講日までに受講料を納入してください。納入を確認次第、申込み完了となります。
法人申込みの方で予算請求期日等の関係で開講日までに納入できない場合は、[お問い合わせフォーム]にてご相談ください。 - 運営規定
- 定員(25名)になり次第、受け付けを終了させていただきます。
一定の人数(通常は5人)に達しない場合は、開講日の1週間前までに未開講の旨をご連絡しますので、ご了承ください。